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【海外インターンシップ/グローニンゲン大学】報告

 Post-event Reports
2017.8.14  

2017年8月6日(日)から10月1日(日)まで、グローニンゲン大学(オランダ・グローニンゲン)にて、5期生の森風美加さんと大島卓弥さんが、海外インターンシップを行っております。

以下、大島卓弥さんからの報告です。
2017年8月14日/No.1

IPBS 5期生の大島卓弥です。
オランダに来て、1週間が経ちました。この1週間について報告したいと思います。

私たち(大島、森)が滞在しているグローニンゲンは、オランダの北東部にあり、アムステルダムから電車で約2時間のところにあります。グローニンゲンの気候は、最高気温が20-23℃ほどで、朝夜は肌寒いです。

オランダに到着した翌日から、大学のUMCG (University Medical Center Groningen) という施設の中にある研究室にて、それぞれ研究を始めています。

私が現在参画している研究室では、ミクログリアのストレス応答における形態の変化、遺伝子発現変化の解析を試みています。私は今までvitroの実験しかしていなかったのですが、今週は実際にマウスの脳切片を作製したり、脳組織からFACSでミクログリアを抽出したりと、vivoの実験をさせてもらい、とても新鮮で学ぶことが多いです。

グローニンゲン大学にある大阪大学の欧州拠点も訪れ、拠点長の長谷俊治先生、現地スタッフの方にお会いしてきました。週末にはディナーにお誘いいただき、ヨーロッパでの生活や、大阪大学からの留学生としての心構えなど、色々とお話することができました。

グローニンゲンは街全体がのどかで、のんびりとしており、滞在して1週間が経ちましたが、とても生活しやすい街であることを実感しています。今後とも、体調やトラブルに気をつけて過ごしていきたいと思います。

大島卓弥


岡村先生とUMCGにて                          グローニンゲンの街並み

以下、森 風美加さんからの報告です。
2017年8月21日/No.2

IPBS5期生の森風美加です。
オランダ滞在開始から2週間経過した現状を報告いたします。

私はグローニンゲン大学の医学研究科にあたるUMCGの中のSpeech Perception Laboratory (Department of Otorhinolaryngology)にて、博士課程の学生であるMinkeさんの研究に携わらせていただいています。この研究グループでは、人工内耳を装用している方を対象にした研究が多くされており、疾患そのものの治療法というよりは生活の質(QOL)向上に関するものと言えます。Minkeさんの研究テーマはコミュニケーションにおける感情の読み取りです。老化やその他何らかの影響によって視覚と聴覚の機能障害が複合的に起こった場合に、相手の感情を読み取る方法・戦略がどう変化するか、また感情の読み取りが上手い人は何が違うのかということを、様々な感情を表現した数秒間の動画を用いて、動画視聴時の眼球運動と課題への反応の面から調べるという内容です。

滞在中の私のプロジェクトとしては、シミュレーターを用いて聴覚の機能障害を再現し、健常被験者の反応がどう変わるかを調べるというものです。日本では聴覚を扱ったことがなかったため、これまでの滞在中に読んだ文献から、障害が生じる聴覚系器官の部位によって異なる種類の聴覚障害が現れることを知り、聴覚系機構の繊細さ・精緻さを感じています。また、これまで聴覚の機能障害をシミュレーションしてみた限りでも、日常のコミュニケーションがいかに不自由になるかということが垣間見え、本人と家族・その他周囲の人々に及ぼす影響が深刻なことを感じました。

これは少し余談ですが、先週開催されていたグローニンゲン大学新入生歓迎のイベントのプログラムを見ると、聴覚障害に関する注意喚起・対策が盛り込まれていました。ヘッドホン難聴など、若者にとっても深刻な問題として大々的に取り上げられているようです。

グローニンゲンはのどかな街ですが、今後も引き続き安全面に用心しながら研究に取り組んでいきます。

森 風美加

以下、大島卓弥さんからの報告です。
2017年8月28日/No.3

IPBS 5期生の大島卓弥です。
3週間が経ち、グローニンゲンでの生活、研究にだいぶ慣れてきました。

研究では、作製した脳切片のミクログリアの染色を行いました。厚めの切片を作製し、蛍光顕微鏡を使って何層かを撮影することで立体的なミクログリアの形態変化を解析しました。また、ヒトの脳切片からのミクログリアの抽出、cDNA libraryの作製、RNA-seqにて遺伝子の発現を解析するまでの精製ステップを教わりました。今後、新しいテーマとして、LPSに対する免疫応答におけるミクログリアの遺伝子転写後制御(エピジェネティック制御)についても実験を進めていくつもりです。

来週は1週間、ベルギーのゲントにて4大学合同で行われるサマースクールに参加してきます。神経科学を学んでいる大学院生が対象で、"Ageing Brain"というテーマで行われます。講義だけでなくグループワークもあるので、積極的に議論に参加して他学生との交流を深めたい思います。

大島卓弥

UMCG .jpeg エレベーターホール.jpeg
(写真左)研究施設であるUMCG (University Medical Center Groningen)  
(写真右)毎日UMCGのエレベーターホールで緒方洪庵先生(右側の壁)に挨拶するとこから1日が始まります

以下、森 風美加さんからの報告です。
2017年9月4日/No.4

IPBS5期生の森風美加です。
グローニンゲンに滞在して4週間が経過しましたので近況報告させていただきます。

今週1週間(8/28-9/1)、私達(大島、森)はサマースクール"Ageing Brain"に参加しました。このサマースクールはグローニンゲン、ウプサラ、ゲント、ゲッティンゲン(合わせてU4)の4大学によって毎年夏に開催されており、今年はベルギーのゲントで行われました。4大学から神経科学を専攻する修士・博士課程の学生計36名が参加し、具体的な活動としては、午前中は加齢に伴う脳神経疾患に関する講義を受け、午後は学生がグループに分かれて課題に取り組みました。

講義では、加齢にともなう脳神経疾患の病理学、早期発見、治療、リハビリ、新たな薬/神経刺激法の開発など、脳神経疾患に対する最先端研究を網羅的に学ぶことができ、知識をアップデートすることができました。また、講師は癲癇の研究に力を入れているゲント大学の先生方が多かったため、講義も癲癇にまつわるものが多く、癲癇の理解を改め新たな知識を得る良い機会となりました。

午後の課題では事前アンケートにより6人ずつ6グループに分かれ、月曜日から木曜日まで課題に取り組み、金曜日に各グループの発表が行われました。課題は各グループに与えられた大まかなテーマに沿った内容で、与えられた資金内の内訳も考えながらPhDプログラムの3カ年研究計画を立てるというものでした。私のグループのテーマは"神経調節治療法の治療効果を測るバイオマーカーとして事象関連電位を用いる"という内容でした。どの疾患をターゲットにするか、何を示せば良いか、実験法は何が適切かなど、チームで議論しながら計画をまとめました。最終的に、パーキンソン病(PD)の治療法として臨床で用いられている脳深部刺激療法(DBS)の治療効果を定量的に示すバイオマーカーが存在しないことに注目し、"PDモデルのラットにおいて、DBSが及ぼすドーパミン放出量への影響と、DBSと局所細胞外電位変化の相関を調べる"という計画を完成させました。私のグループメンバーは出身国が南アフリカ共和国からメキシコ・スイス・オランダまで様々で、普段の研究分野もマウスからヒト、PDに関するものから言語認知まで異なるバックグラウンドから集まっていました。文献集めから研究計画書・発表スライドの作成まで分担して協力して行い、他の学生のやり方を見ることができ、とても刺激的で勉強になりました。ちなみに審査員の投票の結果、"ApoE2をターゲットとしたアルツハイマー病の新たな遺伝子治療法"という内容で発表を行った大島くんの所属するグループが優勝しました。

夕方にはゲント大学の学生が引率して街を案内してくれる日もあり、メリハリのある濃い1週間となりました。なお、グローニンゲンとゲント間は、グローニンゲン大学の先生方(往路:Kremer先生、 復路:Hooiveld先生)がご親切にも車で送ってくださったおかげで、安心して移動することができました。明日からはUMCGのラボに戻り、インターンシップ後半に励みたいと思います。

森 風美加